発信日 | 筆者 | サイトなど | 表題 |
2020/3/3 | 岩澤倫彦 | 文春オンライン 文藝春秋digital | 告発者を会議室で“恫喝” 患者を食い物にする 「がん免疫療法クリニック」 の許されざる実態 末期患者が食い物に……超高額「がん免疫療法」戦慄の実態 エビデンスのない“治療”で高額をむしり取る 石井クリニック、石井光院長、ANK療法、 ガーデンクリニック中町、吉水信就院長、 ミッドタウン先端医療研究所、湘南メディカルクリニック、 |
2020/2/15 | 岩澤倫彦 | 週刊東洋経済プラス | 自由診療で「やりたい放題」民間がん免疫療法の真相 告発スクープ|湘南美容外科グループの“独自療法” |
2019/7/19 | 大塚篤司 | AERA dot. | がん免疫療法が効くのはどんな患者? 治療効果を予測する方法を医師が解説 |
2019/5/30 | 日本臨床腫瘍学会 | PDFがん免疫療法に関する注意喚起について | |
2018/12/24 | 小野沢滋 | 医療プレミア | がん患者の最後の時間を奪う「悪質免疫療法」 |
2018/12/10 | スマートフラッシュ | 治療効果の根拠なし 「がん免疫療法」インチキ医院の見分け方 | |
2018/12/25 2018/11/27 | (未記載) 押川勝太郎 | Smart FLASH がん治療の虚実 | やってはいけない「がん免疫療法」 クリニックに公開質問状 大場大氏協力、東京ミッドタウン先端医療研究所 FLASH誌・免疫療法クリニックに公開質問状 |
2018/10/26 | 桜井なおみ | アピタル | ノーベル受賞のがん免疫療法 効果を見極めるコツは |
2018/10/23 | 朽木誠一郎 | BuzzFeed | ノーベル賞受賞で話題のキーワード「免疫療法」 がネット検索にもたらす変化 |
2018/10/16 | 鳥集徹 | 文春オンライン | ノーベル賞受賞で再注目 「免疫療法」は「まゆつばもの」だらけだった |
2018/10/14 | 押川勝太郎 | がん治療の虚実 | これが 便乗がん免疫療法だ!+警鐘記事リスト ビオセラクリニック、 大阪がん免疫化学療法クリニック、 福岡がん総合クリニック |
2018/10/5 | 上野美和 アメリカ医療サポート会社の 「がんとの向き合い方・正確な情報のつかみ方」 納得できる医療との付き合い方ブログ | ノーベル賞と免疫療法 1、正しい免疫療法の中の一つして免疫チェックポイント阻害剤 があるけれど、他の怪しい免疫療法と混同しないこと 2、免疫チェックポイント阻害剤を扱う自由診療のクリニックで 治療を受けないこと 3、万能薬ではないということを理解すること | |
2018/10/3 | 岩永直子 (勝俣範之) | BuzzFeed | ノーベル賞受賞で相談殺到 誤解してほしくない免疫療法 免疫療法は夢の万能薬ではありません。 保険で受けられるものを選んでください 「受けてはいけない免疫療法」を見分けるコツ |
2018/10/2 | 桑満おさむ | 五本木 クリニック 院長ブログ | がん免疫療法がノーベル賞を獲得!! この表現は誤解を招き、 怪しげなクリニックを歓喜させる可能性が 瀬田クリニック、湘南メディカルクリニック |
2018/6/13 | 押川勝太郎 | がん治療の虚実 | 中村祐輔先生の主張への疑問 ペプチドワクチン療法、瀬田クリニック、 注目されている免疫療法とはズバリ免疫チェックポイント薬とCAR-T療法のみ ![]() |
2018/5/19 | 押川勝太郎 | がん治療の虚実 | なぜインチキ免疫療法業者は治療成績を出せないのか?(拡散希望) 瀬田クリニック |
2017/9/28 | 浅野有紀 | WEDGE Infinity | 「がん免疫療法」の闇、高額なのに効果不明瞭の実態 医療機関ネットパトロール |
2017/9/18 | 片田直久 | 現代ビジネス | 医師たちが告発「がん免疫療法、うかつに信じてはいけない」 藁にもすがる思いの患者をそそのかす アクティクリニック |
2017/9/2 | 岩永直子 | BuzzFeed | 「夢の治療法」「副作用なし」 怪しい免疫療法になぜ患者は惹かれるのか? |
2017/9/2 | NEWS ポストセブン | 大学病院でのがん免疫療法に医師の間でも議論噴出 | |
2017/8/3 | 桑満おさむ | 五本木 クリニック 院長ブログ | あの週刊現代が「がんの免疫療法はインチキだ!!」 で医師から大絶賛! 著者は片田直久氏、 「卵巣がん体験者友の会スマイリー」を主催している片木美穂さんの発言も |
2017/4/10 | 勝俣範之 | ヨミドクター (読売新聞) | “画期的ながん治療”の罠(2) エビデンス・ベースト・メディアのすすめ |
2017/3/16 | 小杉和博 | JBpress | がん難民を食い物にする自由診療クリニック 患者はなぜ受診するのか、被害を避ける処方箋とは |
2016/11/7 | 勝俣範之 | ヨミドクター (読売新聞) | 標準治療って何? ~標準治療はどうやって決まるのか? 標準治療の誤解~(上) 免疫クリニックでの免疫療法のエビデンスレベルは極めて低い |
2016/10/31 | 大場大のブログ "セカンドオピニオン" | BSフジの愚行とがん患者さんを食い物にする がんビジネスの横行 あるトンデモ免疫療法グループの 単なる宣伝 (プロモーション) に終始した番組 ㈱がん免疫研究所 | |
2016/7/11 | 勝俣範之 | ヨミドクター (読売新聞) | 正しい免疫療法のすすめ(上) |
新谷弘実著「新谷式 病気にならない食べ方の習慣」(アスコム)という本など、自然免疫力を高める食事をすすめる、自然免疫力を賞賛する、といった「トンデモ」健康本は多いです。
「自然」というキラキラワードが、その手の人たちに魅力的に響くだからでしょう。人工的、現代科学的な汚染被害を受けていない純粋な自然免疫力ってイメージです。
(【基礎知識02】で勉強したように)、自然免疫の「自然」とは英語のnatureのことではありません。「自然環境」という使い方をする「自然」とは別物なのです。自然免疫は、病原体の曝露がなくても発動する免疫能力なのです。獲得免疫よりも後でこの免疫力の存在は知られるようになり、免疫学の領域では注目を集めている研究対象です。
病原体ひとつひとつに効く獲得免疫は麻薬Gメンやマル暴のような特殊部隊に例えられます。一方、いろいろな病原体に広く対応できる自然免疫は交番のおまわりさんに例えても良いかもしれません。ただし、これは「広く薄く」の免疫力なので、決して強い免疫力ではありません。免疫力そのものでいうと、獲得免疫の方がずっとその力は強いのです。
自然免疫力をになう主力細胞のひとつ、NK細胞についても、漢方薬とか生活習慣でNK細胞の活性は上がるのですが、それは極端に強い免疫力ではありません。例えば、NK細胞活性をあげる漢方薬で、肺癌患者の腫瘍マーカー(血液検査)を改善させたり、食欲が増したりといったマイルドな効果が期待できますが、肺癌そのものが治るわけではありません。「自然免疫力を高めて病気がゼロ」というのは高望みというものです。
しかし、「トンデモ」健康本はこの自然免疫に特別な意味を賦与します。例えば、自然免疫を「免疫細胞よりもっと古い時代から引き継がれてきた」とか、「単細胞生物の時代から備わってきた原始的な免疫機能」だとか、「原始」「古い時代」というキーワードを連発して、いかにも身体に良さそうな印象を醸し出します。「本来の免疫力」という表現も用いています。
自然免疫の方が獲得免疫よりも古かったという証明はなされていませんが、その可能性はあるかもしれません。しかし、進化の過程では古いものほど悪いもの、というのが一般的です。そうでなければ「進化」ではなく「退化」ですからね。「自然」「原始」「太古の昔から」といったキラキラワードは人を魅了しますが、別に古いからといって自然免疫の優位性があるわけではないのです。
トンデモ本は、「ワクチンを打っても感染症にかかることがある」「抗生物質でも治せない病気がある」と説きます。まったくそのとおりです。しかし、この勢いで「だから自然免疫を高めれば良いのだ」という論理の飛躍に走ります。自然免疫があっても感染症にかかり、自然免疫でも治せない病気があるという事実は捨象してしまうのです。
ひとつの原則をAには適用してBでは捨ててしまうのは、科学的な態度ではありません。トンデモ本の筆者がこれを知らずにやっているとしたら医学者・科学者としての知性にかなり問題があると思います。知っていてやっているとしたら倫理的に非常に悪質だと思います。よって、医学者(科学者)としての資質・能力には大きな問題を感じます。一方で、詐欺師としては一流なのかもしれません。たくみに虚実を織り交ぜて人をだますのが詐欺師の常套手段ですから。
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管理人:icchou
非常勤講師