酒税改定により最新データを追記。2020/10/6
(上記までの改定記録は割愛)
初回公開日: 2016/01/5
ビール酒税などについて勉強しました。
最終的には、ビール類の税率が1本化され、ビールは下がり発泡酒・第3のビールが上がるようですが、
第3のビールが大ダメージを受けるので大反対です。
ビール・発泡酒・第3のビール(新ジャンル)を合わせて、ビール類と書きます。目次
1.今後の予定2.小売価格に占める税金の比率 2020年10月現在
【追記】 2019年10月時点
3.ビール類の種類(原料・製法)4.下がるとはいえ、まだまだ高いビール酒税 36%が税金
諸外国のビール酒税との比較(350ml缶)
アルコール分10ml(1度1リットル)あたりの酒税
アルコール分1度あたりで、蒸留酒に比べビールが高いのは主要諸国の中で日本だけ
なぜ、日本のビール類の酒税は高いのか?
5.ビール類の市場規模6.ビール類マーケットシェア推移7.メモ8.関連エントリー1.今後の予定 (2017年の酒税法改定で決定している)
350ml缶当たりの酒税+α*

ブログ主作成
*+αは、
二重課税で酒税分に掛かる消費税
メーカーが納税義務者となって負担する税金であり、その販売価額の一部を構成しているので、課税標準に含まれるとされている(国税庁の説明)。
分かりやすく言うと、酒税はメーカーの出荷段階で掛かるものでメーカーが支払っているため、消費段階でさらに消費税も掛かる仕組み。
酒税のほか、たばこ税、ガソリン税、自動車取得税、などが二重課税になっている。
各段階の税率変更には「検証規定」を設け、消費動向を見極めつつ計画通り実施するかどうかを判断する方針、とのことだが、
2020年10月は当初予定通り改定された。
.2.小売価格に占める税金の比率
2020年10月現在
350ml缶 セブンイレブンでの小売価格と税額

ブログ主作成
セブンイレブンでは上記で消費税の端数は切捨て計算。
(小売価格での切捨て・切上げ・四捨五入の選択は、それぞれの事業者の判断にまかされている。)
小売価格で、
ビールは8円値下げ、
第3のビールは11円の値上げ。
2019年10月時点
350ml缶 セブンイレブンでの小売価格と税額

ブログ主作成
上記で、セブンイレブンでは消費税の端数は切捨て計算。
(小売価格での切捨て・切上げ・四捨五入の選択は、それぞれの事業者の判断にまかされている。)
.3.ビール類の種類(原料・製法)税法上の分類
| 麦芽比率など | 副原料 |
ビール | 麦芽比率
67%以上 50%以上*1 | この欄はビールについての説明 【従来から】 麦、米、とうもろこし、こうりゃん、 ばれいしょ、でん粉、糖類またはカラメル 【追加副原料】*1 香り付けや味付けが目的で麦芽重量の5%まで。 果実、コリアンダー・コリアンダーシード、 香辛料(胡椒,山椒など)、ハーブ(カモミール,バジルなど)、 野菜、そば・ごま、 含糖質物(蜂蜜,黒糖など)・食塩・みそ、花、 茶・コーヒー・ココア(これらの調整品を含む)、 牡蠣・こんぶ・わかめ・かつお節
|
発泡酒 | 麦芽比率 25%未満 *2 |
第 3 の ビ ー ル | その他の 醸造酒 (発泡性) | 麦芽なし |
リキュール (発泡性) | 麦芽比率50%未満の 発泡酒に麦スピリッツを加えたもので エキス分が2%以上 |
*1 2018年4月から適用
*2 税制上は麦芽比率25~50%の発泡酒もあるが、税率は25%未満より高くなるので、現行の商品としては無いようだ。
.4.下がるとはいえ、まだまだ高いビール酒税
2026年10月以降の最終値の評価
ビール酒造組合の資料に“なるほど”情報が結構ありましたので、以下に引用します。
出典の記載がない資料はこの資料からです。ビール・発泡酒・新ジャンル商品の 酒税に関する要望書(ビール酒造組合 2019年8月)36%が税金

諸外国のビール酒税との比較(350ml缶)

邦貨換算は、2019年5月末時点のTTMレート。
なんと、ドイツの約14倍、アメリカの約7倍。
アルコール分10ml(1度1リットル)あたりの酒税
これは、アルコール分あたりの酒税なので、同じほろ酔い気分に対しての比較。
缶チューハイの約1.5倍、ワインの約4倍、焼酎・ウイスキーの約3倍。

アルコール分1度あたりで、蒸留酒に比べビールが高いのは、主要諸国の中で日本だけ

欧米ではおおむね、ウイスキーなどの蒸留酒には高い税率、醸造酒であるビールやワインには低い税率が標準
なぜ、日本のビール類の酒税は高いのか?
- 酒税は1兆3041億円と国税の2.1%を稼ぎ出している。これは消費税と2重課税されている個別間接税の中では、3.8%を占めた揮発油(ガソリン)税に次ぐ第2位の規模。2017年度
- 国税に占める酒税の割合は、日本はイギリスとならび先進諸国の中で著しく高比率。
- その内、日本のビール類の酒税は、酒税総額の63%を占める。2017年度
- 安易な財源確保策として用いられてきた、すなわち、取りやすいところから取ってきた結果。
データ出典:PDF酒のしおり(国税庁 2019/3).5.ビール類の市場規模
ビール類市場規模(百万函, 課税数量ベース)
2018年の市場規模は、1994年ピーク時の約7割にまで減少。

今後の税率改定で、発泡酒、第3のビール
(新ジャンル)は激減していくかと。
ビールは税額が下がるので増えるが、発泡酒・第3のビールの減少はカバーできず、
ビール類全体での国の税収額が減少という、当局の思惑から外れる結果になるかも。
.6.ビール類マーケットシェア推移(課税数量ベース)
2020年上期まで

2018年まで
A社:キリン、B社:サッポロ、C社:サントリー
.7.メモ
●PDF
酒税法等の改正のあらまし(税務署 2017/4)
●PDF
酒税法等の改正(財務省)
●PDF
平成29年度税制改正によるビールの定義の改正に関するQ&A(国税庁 2019年9月改定)
●
売上ランキングベスト20(㈱マーチャンダイジング・オン)
●日本酒、ワイン、酎ハイの今後の酒税
.8.関連エントリー
●
【前編】発泡酒、第3のビール、その歴史や製造方法の違い●
【後編】発泡酒、第3のビール、その歴史や製造方法の違い