『2.フィルター・マスクの種類』を改訂増補。2020/2/23
初回公開日:2014/04/14
目次
1.代表的な粒子状物質の粒径などのチャート 正確性には欠けると思いますが、目安として
PM2.5、SPMの粒子径の詳細はこちら
【豆知識01】エアロゾル:aerosol とは
【豆知識02】光(可視光)の波長より小さいものは光学顕微鏡では見ることができない。
2.フィルター・マスクの種類 【改訂増補】 フィルターの粒子捕集率
マスクの種類と粒子捕集率
フェイスシールドやマウスシールドの飛沫拡散防止効果は低い
メモ
1.代表的な粒子状物質の粒径などのチャート
少し探してみたのですが、あまり良いものを見つけられなかったので、いくつかの図を寄せ集めて作ってみました。
正確性には欠けると思いますが、目安として
以下は引用です。

【豆知識01】エアロゾル:aerosol とは
日本エアロゾル学会のHPの説明- エアロゾル粒子の性状:粒径や化学組成,形状,光学的・電気的特性など多くの因子によって表され,きわめて複雑。
- 粒径:分子やイオンとほぼ等しい0.001μm=1nm程度から花粉のような100μm程度まで約5桁にわたる広い範囲が対象
エーロゾルについて(気象庁)気象庁の用語では“エーロゾル”を使うようです。- 大きさ:半径0.001μm程度から10μm程度
- 種類:人為起源あるいは自然起源のガスから生成される硫酸塩、風によって巻き上げられる海塩、黄砂粒子などのダスト、化石燃料やバイオマスの燃焼から放出されるすすなど。
- 気候へ影響:エーロゾルは日射を散乱したり吸収したり、また雲粒の核となって雲の性質や状態を変えたりする。
エアロゾルと感染についての記述例【疫学】インフルエンザの感染拡大過程(Nature Communications 2013/6/5)疫学上は、排出源から1~2m以内で地上に堆積する大きな飛沫とそれよりも長時間にわたって空中に滞留する直径5μm未満の微小な感染性飛沫に分類され、後者をエアロゾルという。
インフルエンザの感染伝播:感染制御における方針と実践に関する研究の必要性(国立感染症研究所 2007年6月号)インフルエンザが咳嗽、くしゃみによって伝播することはよく知られているが、そのときに産生される5μm以上の飛沫は大抵の場合すぐに落下し、感染者から1m以上離れることで伝播の危険性はすみやかに減少する。インフルエンザウイルスが空気感染、あるいは5μm未満の飛沫(エアロゾル)により伝播するかについては、よりいっそう不確かな点が多い。Brankstonら(Lancet Infectious Diseases, 2007)は、人工呼吸管理や気管支肺洗浄などの処置を実施するような病院の特殊な環境でなければ、エアロゾル感染の起こる可能性は低いと述べている。
【豆知識02】 光(可視光)の波長より小さいものは光学顕微鏡では見ることができない。
いくら小さい物体であっても拡大すればみえるだろう、というのは私たちの数少ない経験を拡大解釈した間違い。例えば、原子の大きさは1nm(0.001μm)より小さく、
可視光の波長と比べて2~3桁小さいサイズなので、いくら倍率の高い光学顕微鏡でも原子を見ることはできない。
.2.フィルター・マスクの種類
フィルターの粒子捕集率
クリーンルームの空調システムなどに使われる。
- ULPAフィルター
定格風量で粒径が0.15μm の粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率 - HEPAフィルター
定格風量で粒径が0.3μm の粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率
マスクの種類と粒子捕集率
以下、グレードの高い順に。通気性(呼気抵抗)は悪い順になる。
なお、日本には医療用マスクの性能規格基準が存在しない。
- N95規格マスク(医療用マスク)
粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上の粒子捕集率(米国労働安全衛生研究所(NIOSH)規格)
感染症に罹らないために、サンエムパッケージ株式会社 [マスクの豆知識]
N95マスクを正しく着用すると息苦しさを感じるので、医療現場でも長時間の着用は通常は行わない、とのこと。
- サージカルマスク(医療用マスク)
主に医療現場もしくは医療用に使用される感染防止用マスクで、外科手術などの際に使われる。“外科の”“手術の”という意味から「サージカル(surgical)マスク」と呼ばれている。
サージカルマスクは直径5μmまでの粒子を除去することができる。
ASTM(米国試験材料協会)が医療用マスクの素材条件として、レベル1,レベル2,レベル3,の3種類を定めている。条件の一つに、BFE:細菌濾過率があり、細菌を含む平均約3μmの粒子が濾過された率でレベル1は95%以上。マスクの規格基準M(Medical SARAYA(メディカルサラヤ))
- 家庭用マスク
カゼ、花粉対策や防寒・保湿などの目的で日常に使われるマスク。素材や形状、サイズなども豊富。
捕集率はメーカー独自の標記が多い。例えば、花粉捕集率99%。
【メモ】
キッチンペーパーで簡易マスク(警視庁)
キッチンペーパーで簡易マスクをつくろう(NHK NEWS WEB)
上記と用途は違うが。
フェイスシールドやマウスシールドの飛沫拡散防止効果は低い
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新型コロナ対策 フェイスシールド・マウスシールドってどうなの?(坂本史衣 2020/10/12 Yahoo個人)マスクに比べると、フェイスシールドの飛沫拡散防止効果は低そうだということが、いくつかの実験から分かってきました。
マスクを着けることができない方(手話通訳の方やその他の事情がある方)が、次善の策としてフェイスシールドを着けるのは仕方のないことです。ただ、マスクと同等の効果は期待できないものと考えて、人との距離を空けるなどの配慮をできる範囲で行うことは必要かと思います。人と人との距離を空けられるなら、そもそもマスクもフェイスシールドも不要です。
顔に密着しておらず、口元しか覆わないマウスシールドは、マスクの代わりにはならないと考えてよさそうです。
メモ
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使い捨てマスクを安全に再利用しよう(小波秀雄 KonamiLog 2020/4/10)●
マスクの統計データ(日本衛生材料工業連合会)
大気中の粒子の話しはかなり専門的なようで、自分の理解のために作った図でした。
さて、
“放射性物質は花粉と同じようなもの”は、かなりの間違い表現ですね。
その説明は、福島の事故で放出された放射性物質、例えばセシウムがどんな形で環境中に存在しているか、という話しになります。
放出直後を除けば、セシウム単独で粒子になるような量はなく、分子レベルのセシウムが何等かの粒子にくっ付いているイメージです。(放出直後でも、単独で粒子となるような濃度ではなかった、といった説明があったと記憶していますが、あいまいです。)
こんな説明で良かったでしょうか?
図の油煙は、1μm(マイクロメーター)すなわち1mmの1/1000前後、でPM2.5と同じレベルです。
揚げ物で出る油煙が、この図の油煙と同じかどうか?チョットわからないです。一般に調理排気は、部屋が汚れるなどのほか、厳密にはわずかな健康リスクもあるようですが、それらを心配するよりも食卓での楽しい会話やお母さんの料理の思い出のほうが遥かに大きなメリットと思います。