ドイツの原発政策 歴史的には揺れながらも、福島第一原発事故の後に以下を決定している。 旧式の8基を停止 残りの9基については稼働年数32年で順次廃止⇒実質的に2022年に全廃となる。 ただし、再生エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)で消費者に転嫁される賦課金の高騰や高圧送電線の建設に対する住民の反対運動に直面し、22年までの原発完全廃止を危ぶむ声もあるという。 |
ドイツの再エネ政策 1991年に買取制度を導入。 2000年に固定価格化:再生可能エネルギーを20年間に渡り全量固定価格で買取る制度(FIT:フィード・イン・タリフ)を施行。 2004年に導入拡大:買取価格を3割弱引き上げ(45.7から57.4ユーロセント/kWh) 2009年の再生可能エネルギー法(EEG)の改正で、買取価格を引き下げ、逓減率を引き上げても賦課金(FITサーチャージ)は上昇。 2012年に買取価格の引き下げ、さらに太陽光発電の累積設備容量が5,200万kWに達した後は太陽光発電の買取を中止するとしている。 |
2014年7月 再生可能エネルギー法(EEG)の改正 賦課金を抑制するため、陸上風力発電施設及び太陽光発電施設の設備容量の増加は、1 年につき2,500MWまでとする。 FIT対象電源を段階的に小さくし、2016 年1 月1 日以降に運転を開始する発電施設で100kW超のものは買取対象外とし、卸電力取引市場への売却とする。さらに、2017 年に再生可能エネルギーにより発電した電力の入札制度を本格導入する。これは固定価格買取制度の廃止を意味する。 また、従来、賦課金を免除されてきた自家発電にも賦課金を課す。 出典:【ドイツ】 2014 年再生可能エネルギー法の制定(2014年8月渡辺富久子) |
2013年末時点で、再生可能エネルギーは23%、太陽光発電は4.5%。
2013年の総発電量はは2012年(6,170億KWh)をわずかに下まわった。輸出が増加し電力総消費量は5,960億KWhで前年比1.8%の減少。ちなみに、日本の2012年度の総発電量は9,408億KWh
(再エネの話からは外れますが)
ドイツの発電における石炭比率は2013年で45%あり、100%国内産の褐炭と、自給率3割弱(発電だけでの自給率は4割弱)の無煙炭(グラフ中では石炭と記載)で賄われています。これはエネルギー安全保障面での利点になっています。詳細はこちらのエントリー
輸出入の詳細説明は別エントリーにありますが、概要は以下のとおり。
フランスの電気(原発比率8割弱)がなければ、電力の多需要地域であるドイツ南部は停電する。風の強い北部の再エネ電力を南部に送る送電線の増強計画は地域住民の反対で遅れており、国内需要が少ない時や夜間に不必要に発電した再エネ電力は、ポーランドやチェコなど周辺国に極端な安値で輸出せざるを得ない。
10月中旬に翌年分の賦課金想定額を決定しており、2014年の賦課金総額は236億ユーロ(3.1兆円)。うち約22億ユーロは前年の賦課金想定額と実際の収支との差額調整費。
2000年比で買取電力量が11倍に対して、賦課金総額は27倍に増えている。
2000年から2014年までの賦課金累積で1,095億ユーロ(約14兆円)。
★2014年の家庭用では2000年時点に比べ2.1倍(=29.13/13.94)に上昇。
★賦課金(FITサーチャージ)は2000年は0.2ユーロセント/kWhであったのが、2014年には6.24ユーロセント/kWhとなっており、一般的な家庭需要家が支払う電気料金の21.4%を占める。
★グラフ要素の一番下の部分が発送配電のコストで急激な増加はなく、それより上に積み上げられた税金や再エネ導入に係る費用が大きく膨らんでいる。
★家庭用では52%(2014年)が、産業用では54%(2014年)が、税金・賦課金。
出典:「検証・電力システムに関する改革方針」 2013/8/2 ドイツの電気料金内訳右半分の上から①付加価値税、②公道使用料、③電気税(環境税)、④コジェネ普及付加金、⑤再生可能エネルギー普及付加金の5つが電気料金に含まれています。その合計は48.8%にもなります。
ようするに、2013年度の電気料金は1kwhあたり28.7セントの内、14.1セント(49.1%)は税金など。電力会社が電気料金として売上に計上できるのは14.7セント(51.2%)、日本円に直すと約15円です。
日本の場合、2012年度の電気料金は1kwh当たり約27円です。日本の電気料金に含まれる税金と付加金(サーチャージ)は約6%程度ですから電気料金からこの分を引くと電気会社に入る売上金は約23円、ドイツは15円。日本の電気料金はいかに高いかが分かりますね。
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管理人:icchou
非常勤講師