文部科学省から9/30に発表された資料と関連記事をアーカイブします。
1.朝日新聞 9/30 ストロンチウム、最大で事故前の6倍検出 文科省調査 東京電力福島第一原発の事故で放出されたストロンチウムとプルトニウムについて、文部科学省は30日、周辺の土壌の汚染マップを初めて公表した。ストロンチウムの沈着量は原発の20キロ圏内と北西で高い傾向だった。過去の大気圏内核実験で国内に降りそそいだ放射性物質の測定の最大値の6倍のところもあった。事故によるプルトニウムも原発の敷地外で初めて検出したという。
調査は6月から約1カ月間、福島第一原発から100キロ圏内で土壌を採取。
福島県内と県境の他県の市町村(59カ所)と
原発周辺(41カ所)の
計100カ所で、両物質の1平方メートルあたりの核種の量を分析。1980年代までの大気圏内核実験で日本に降った放射性物質の量と比べた。
その結果、
ストロンチウム90(半減期約30年)が最も高かったのは福島県
双葉町(20キロ圏内)の
5700ベクレルだった。文科省が1990~2008年度に全国で測定した最大値950ベクレルの6倍。950ベクレルを上回ったのは
8カ所あり、7カ所が20キロ圏内と北西方向に集中した。
プルトニウムは
238の
最大値が4ベクレル、
239と240が
計15ベクレルで、いずれの地点でも事故前の観測での最大値を下回った。ただし、原発30キロ圏内と北西の
6カ所で検出されたプルトニウムでは、核実験で検出されにくい238の比率が高いことなどから、今回の事故で新たに沈着したことが確認されたという。事故後これまでに福島第一原発の敷地内でしか、検出されていなかった。
文科省は、最大値が検出された地点に50年間滞在した場合の被曝(ひばく)線量を計算。プルトニウム238は0.027ミリシーベルト、同239+240とストロンチウム90はともに0.12ミリシーベルトだったという。
文科省は「プルトニウムやストロンチウムの沈着量はセシウムに比べ非常に小さい。今後の被曝の影響評価や除染対策はセシウムに着目するのが適切」としている。
2.文科省9/30発表の「文部科学省によるプルトニウム、ストロンチウムの核種分析の結果について」 【100箇所を選定】 59箇所については、80 ㎞圏内の各市町村(59 市町村)各1箇所、市町村内の空間線量率及び人口の積が大きな箇所を中心に選定。
残り41箇所については、警戒区域等の市町村の中から福島第一原発を中心に全方向において一様に選定。
このpdfファイルのなかに、以下の
2枚のマップがある。解像度が悪くて見にくいので
他のサイトからの資料をリンクした。
単位はベクレル/m2 (1) 別紙2-1 Pu238,Pu239+240の測定結果 上段:Pu238、下段:Pu239+240
マップの緑ポイントが、Pu238検出の
6箇所で、比率から判断して今回の事故で沈着したもの(計画的避難準備区域で4箇所、警戒区域で2箇所)
最大濃度は
Pu238:4.0Bq/㎡(浪江町の計画的避難区域)、
Pu239+240;15Bq/㎡(南相馬市の警戒区域) Pu 238,239+240 の沈着量は、いずれも、事故発生前に全国で観測された範囲(過去の大気圏内核実験の影響 Pu238:最大8Bq/㎡、239+240:最大220Bq/㎡)に入るレベル。
最大濃度での50年間積算実効線量は、Pu238:0.027mSv,Pu239+240:0.12mSvと非常に小さく、今後の被ばく線量評価や除染対策においては、セシウムに着目していくことが適切であると考える、と結論付けている。
なお、検出下限値は、Pu238,239+240 ともに約0.5Bq/㎡
(2) 別紙2-2 Sr89,Sr90の測定結果 上段:Sr89、下段:Sr90
マップの緑ポイントが、Sr89が検出されている箇所で今回で沈着したもの(Sr 89 は半減期50日、Sr 90は半減期28 年。Sr 89が検出された場合は過去の原爆実験影響ではなくて、今回の影響となる。)
→緑ポイントは結構ある。地図から読み取ると、原発から最も遠い緑ポイントは80km弱の白河市(Sr89:500Bq/㎡,Sr90;130Bq/㎡)の様だ。群馬大早川教授が解析した放射性プルームの動きからすると、原発からの距離は、あまり関係ないファクターであるが・・ 最大濃度は
Sr89:22,000Bq/㎡(浪江町の計画的避難区域)、
Sr90;5,700Bq/㎡(双葉町、警戒区域) Sr89が未検出箇所のSr90の値は、事故発生前の全国において観測されているSr90の範囲(2.3~950Bq/㎡)内に入るレベル、この事から、Sr89未検出でSr90検出のポイントは今回で沈着したものではない、としている。
最大濃度での50年間積算実効線量は、Sr89:0.61μSv,Sr90:0.12mSvと非常に小さく、今後の被ばく線量評価や除染対策においては、セシウムに着目していくことが適切であると考える、と結論付けている。
なお、検出下限値は、Sr89 で約300Bq/㎡、Sr90 は約40Bq/㎡。
(3) 別紙3 全国におけるこれまでのプルトニウム238とプルトニウム239+240の関係について 1999年~2008年までの環境放射能水準調査の結果
【追記】
文科省から9/30に「放射線量等分布マップの作成等に係る検討会(第10回)配付資料」として、解像度がましな資料と測定データ表が出ていた。(情報発信として不親切極まりないと思うが)
リンクのみ記載しておきます。
●解像度がましな資料 ●測定データ表3.チェルノブイリとの比較(
追記)
●buveryの日記11/6 私が、『福島のプルトニウムは無視して良い』と考えるわけ4.“放射性プルームの動き”の最新版(9/30のエントリー)
●群馬大早川教授 “放射性プルームの動き” の最新版【つぶやき】
6月の調査自体が遅いし、さらに、その結果発表が9月末(ほとんど10月)とは、あきれてしまう。
プルトニウムは過去の大気圏内核実験の影響より小さいが、ストロンチウム90は過去の大気圏内核実験の影響より大きいポイント8ヶ所のうち1ヶ所は規制区域外の相馬市にあるのが気になる。
詳細に見ていけば、そのほかの疑問点が出るだろうし、いずれにしろ、測定ポイントが各市町村(59 市町村)各1箇所のデータでは不安が多い。調査はこれで打ち切りの様な事が書いてあるが、追加調査は必要だろう。
今回の調査結果をチェルノブイリ汚染区域の基準濃度と比べるとかなり低いので、チェルノブイリ事故の汚染状況とは様相が違う事は判った。詳細は●航空機モニタリング結果(汚染マップ)でのチェルノブイリ汚染区域(ゾーン)との比較をご覧ください。