電気料金に関する記事2つから始めて、“いびつな電力事情”、“劣化のひどい読売新聞”について。
1.毎日jp 9/7 東京電力:経営調査委、料金構造の見直し表明「コストに無駄」 【全文引用】
東京電力福島第1原発事故の損害賠償に備え、東電の資産査定などを行う「東京電力に関する経営・財務調査委員会」の下河辺和彦委員長は6日の第6回会合後の会見で、東電の
電気料金のコスト構造を見直す方針を表明した。また、
東電が料金値上げを検討していることに対しては「安易な負担は避ける」と述べ、
大幅な引き上げをけん制した。
調査委は1998年以降の東電の料金の算出根拠を精査した結果、複数の費用の項目で、予測した価格を実際の価格が下回っている項目が見つかったという。下河辺委員長は会見で「こんなものまで原価に計上すべきか、というものも無いわけではない」と述べ、
東電の料金が高止まりしている可能性を指摘。電力会社は、燃料費や人件費など発送電にかかる原価を料金に転嫁できる「総括原価方式」を採用しているが、コストに無駄があると見て、改善を促す。
一方、
東電は原発から火力に切り替えることで余計にかかっている燃料費を料金に転嫁する方針で、
10%超の値上げを検討している。下河辺委員長は「国民負担の極小化という観点から、安易にもろもろの費用が利用者負担となることは絶対に避ける」と述べ、本当に
必要な値上げ幅なのか検証が必要との意向を示した。【宮島寛】
2.毎日jp 9/7 料金値上げの動き「非常識だ」--玄葉外相 【引用(一部略)】 玄葉光一郎外相は6日の記者会見で、東京電力による電気料金引き上げの動きについて「
看過できず、非常識だ」と批判した。鉢呂吉雄経済産業相と古川元久国家戦略担当相に対し、「政府の『エネルギー・環境会議』では、
需要の構造改革を進めることで、来年夏の電力不足や料金引き上げを起こさせない大方針を明確にしている」と、クギを刺したという。
【つぶやき】
●“原子力ムラ”の実態から判ったのは、このムラが原発推進だけではなく、高い電気料金をも作り出してきた事だ。正確には、3 4つの要素が複合した“いびつな電力事情”のなせる技である。
“いびつな電力事情=総括原価方式+地域独占体制
+原子力ムラ+電源3法交付金*1” *1:詳細はコメント欄をご覧ください。
●主犯は東電と経産省の二人である。
むしろ、東電が合法?の範囲で、出来るだけ高い売値を付けようとしたのは、企業活動の性とも言える一方で、コストセーブを求め厳格な査定を行うという本来の監督官庁の役割を全くせずに、お手盛り原価算定で天下りなどの分け前をたっぷりと懐に入れていた経産省の方が罪は重いと言えるかも知れない。高い電気料金が天下り給料などなどの原資だから。
●ほかに共犯となるのは、問題を指摘せず(できず?)膨大な広報費で潤ってきた大手マスコミだろう。 その原資も高い電気料金なのだから。
特に今になっても、“原子力ムラ”の呪縛にドップリ浸かっている読売の“劣化”がひどい。
少し前だが、6/13の『全原発停止なら…家庭の電気代1千円アップと試算』との記事で、経産省天下り外郭団体の(財)日本エネルギー経済研究所が原発の必要性を謳う提灯試算をしたものを、そのまま提灯記事にした。
同じ内容を、9/7の社説の一部として、脱原発すると「火力発電の燃料費3兆円増で料金2割アップ(産業用で4割)」と再度書いている。読売は東電の代弁者か
●ブログ「原発危機を考える」の9/7のエントリー 読売新聞「原発推進」社説を批判する でもっと幅広い批判を展開されています。ご一読をお勧めします。
●(冷静になって)冒頭の記事を見ると、“電気料金のコスト構造を見直す方針”とか、“必要な値上げ幅なのか検証”とか、“需要の構造改革を進める”とあるが、そんな事では問題は解決しないと思う。
“いびつな電力事情=総括原価方式+地域独占体制+原子力ムラ+電源3法交付金”という構造問題に手を付けないと。 【関連エントリー(新しい順)】 ●【原子力ムラ05】高い電気料金、主犯は経産省と“いびつな電力事情”、“劣化のひどい読売新聞”
→本エントリーです ●【原子力ムラ04】東電による日本支配の構造(金額的データ) ●【改定】世界一高いか?日本の電気料金 ●【原子力ムラ03】民主党のバックに原発推進団体「電力総連」、東京新聞「こちら特報部」が裏側に迫る ●【原子力ムラ02】東電による日本支配の構造 ●【原子力ムラ01】検証3ヶ月原発危機6/もたれあう原子力ムラ【個人的メモ】
●「現代ビジネス 経済の死角」2011/5/16
総力特集 原発マネーに群がった政治家・学者・マスコミ この国は電力会社に丸ごと買収されていた
確かに、電源3法交付金は、電気料金に含まれる電源開発促進税(平成22年度で年間3,491億円)で賄われていますね。
http://hunter-investigate.jp/news/2011/09/-1420-1830144580002557012000-1929824360002568807000-2031461220002723153000.html
本文に追記しました。