全面的に改訂・追記。2019/9/2
初回公開日:2019/4/23
海洋プラスチック問題やストロー問題の中で、『生分解性プラスチック』という言葉が良く出てきます。すこし勉強してみました。
目次
1.環境負荷の少ないプラスチックは2種類あるが目的が違う
2.生分解プラスチックにも色々な種類がある3.国連機関のUNEP(国連環境計画)の発表とそれについての議論4.原料や製造方法の観点から3つに区分5.生分解性プラスチックとメーカーの一例6.生分解性は環境によって異なる一例本論に入る前に1.環境負荷の少ないプラスチックは2種類あるが目的が違う
生分解プラスチックとバイオマスプラスチック
| 生分解プラスチック 自然界で分解される、 最終的には水とCO2にまで。 微生物が出す酵素で 分解される成分でできている | 非生分解系 |
バイオマスプラスチック カーボンニュートラルの考え方ができる 原料が植物由来のバイオマスで、 燃やしても地球全体のCO2は増加しない | 生分解マルチフィルム、 土のう袋、など 素材はPLA:ポリ乳酸など (原料はトーモロコシ,サトウキビ) | 自動車の内装材、 電気・情報・OA機器など、 メーカーの地球温暖化対応 として増えてきた。 |
非バイオ(石油合成系) | 医療用縫合糸、釣り糸 畑の畝に使用する生分解マルチフィルム (収穫後にフィルムを剥がす必要がなく、 そのまま鋤きこめる) 堆肥化施設に回収する生ごみ用袋 移植用苗ポット 素材はPGA:ポリグリコール酸など | 一般のプラスチック 現状では、圧倒的に多い。 |
- 増えているのは『バイオ』で『非生分解』の部分。トヨタなどの自動車メーカーの発信情報をみるとかなり積極的に取り組んでいる事がわかる。
- 『生分解』の部分の釣り糸の例では製品価格が高くなるため普及が進んでいない。
- 両方の特性が同時に求められるニーズは少ないようだ。
- 焼却処理するプラスチックを『生分解』に転換するのは、理にかなわないトンチンカンな対応。
.本論として、2.生分解プラスチックにも色々な種類がある
上記の『生分解プラスチック』の欄に、
- 自然界で分解される、
- 最終的には水とCO2にまで。
- 微生物が出す酵素で
- 分解される成分でできている
と記載したが、種類や条件によって、大きな違いがあるようだ。
結論を先に言うと
- 海の中のような自然環境下で迅速かつ完全に分解する”生分解性”プラがまだない。①
- 現在までの知見では、海洋仕様に適した生分解性プラスチックと、そうではない生分解性プラスチックがあるようだ。③
- 国連環境計画(UNEP)は、生分解性プラは海洋ごみの現実的な解決方法にはならないと見解を示している。⑥
しかし、これに関しては議論がある。(3項) - カリフォルニア州では、プラ素材商品に「生分解可能」「堆肥化可能」という環境に優しい文言を記載することを、法律で原則禁止している。①
①~⑥は、それぞれの出典。本項下部に記載。